モンゴル国対外政策大綱(仮約)
(2011年2月10日 国家大会議第10号決議 添付文書)


二十一世紀を迎えて世界のグローバル化は一層広がり、科学・情報技術は飛躍的に発展し、政治・経済統合は拡大して、国々の相互依存関係は深化している。国際関係は前世紀後半の二極体制の時期から大きく変化した。発展の新しい中心地が明らかになり、国際関係におけるそれらの影響が増大する傾向にある。  他方、国々の発展の速度と水準は一層格差を示し、弱小経済諸国の失業と貧困は減尐していない。いくつかの国や地域では核兵器を保有する企図が継続しており、先鋭的情勢は緩和されていない。また気候変動や自然環境の悪化、さらに国際的テロリズム、人身および麻薬の売買、感染症の蔓延などの危機や難題は増大している。

モンゴル国が民主主義・人権・自由を尊重する市場経済国として発展すると共に、対外交流と協力関係は一層拡大し、外国で働き学ぶ国民の数は大きく増加した。  モンゴル国は自国の資源を活用して、経済力強化、雇用増大、国民生活向上の力強い発展の道に入っている。  世界中で直面する課題を解決するためのモンゴル国の寄与をさらに高め、国家開発政策を実現するために、対外関係を拡大発展させ、その成果をより増大させる必要性に直面している。  
一、 総則

1.  モンゴル国の対外政策はモンゴル国憲法と国家安全保障大綱に定義した国益に則り、国の内外情勢は対外政策の目的・原則・方針を明らかにする基礎となる。

2.  モンゴル国の対外政策の目的は、世界各国と友好関係にあり、政治・経済および他の分野の交流と協力関係の発展、国際社会における立場の強化、発展進歩の加速化により国の独立と全権を堅固にすることである。

3.  モンゴル国の安全保障と国益を、国際法の枠組みで、政治・外交的手法で確立することは対外政策の最優先目標である。

4.  モンゴル国は平和を希求し、開かれた、独立した、多角的な対外政策を行う。

5.  対外政策の一貫性と継続性を保持する。対外政策の一貫性保持と、国家中央行政および地方行政単位の対外関係の連携調整・監督業務を、対外関係問題を所管する国家中央行政機関が履行する。

6.  モンゴル国は他国と関係する際に、互いの独立・全権・領土の不可侵、自国の統治権の相互尊重、内政不干渉、紛争の平和的解決、人権と自由の尊重、対等かつ互恵的な協力など国連憲章に定められ一般に承認されている国際法の原則・権限、また二国間関係の基本文書などに定められた他の原則を指針とする。

7.  世界および地域に影響力を有する諸国との交流・協力を発展させることを目指すとともに、いずれかひとつの国に過度に依存することあるいは従属することを警戒する。

8.  国際関係の発展と、世界および地域の政治情勢に連関させて、対外政策の方向性と目標を柔軟に決定する。

9.  モンゴル国の対外政策は、政治・経済・科学技術・文化・人的対外政策、外国に在留する国民の権利と利益の保護、対外広報・広聴政策など、相互に関連する基本部分からなる。政治的対外関係政策は決定的性格を有する。

二、政治的対外関係政策

10. モンゴル国の政治的対外政策の目的は、国家安全保障と発展進歩の良好な外的環境整備、外交および領事関係の発展、影響力を有する国々との関係の水準向上、国際機関での活動の活発化、世界共通の直面する課題解決への寄与である。

11. モンゴル国に外的な軍事危機がもたらされていない場合、いかなる軍事同盟にも加盟せず、領土と領空をいずれかの国に敵対して利用させることなく、外国の軍事力を領土に侵入・駐留・通過させない方針を堅持する。

12. モンゴル国は国際法を遵守し、条約・協定によって課された義務を履行する。

13. モンゴル国は世界共同体の構成員として、地域および世界的に直面する課題の解決に向けた全面的行為に寄与することを努力する。具体的には、

‐ 民主主義の強化、人権と自由の確立に向けた活動の支持、積極的参加
‐ 核および他の大量破壊兵器の不拡散、非武装化、国際テロリズム・組織犯罪との闘い、国連および他の国際平和支援・維持・復興活動への参加
‐ 気候変動への適応、負の影響の削減、自然環境劣化防止、感染症蔓延予防に向けた国際社会の努力の支持と参加

14. モンゴル国は政治的対外関係政策を実施する際に、以下の方針を堅持する。

14.1. ロシア連邦・中華人民共和国と友好関係にあることは、モンゴル国の対外関係政策の最優先目標であり、これらの国と全面的に均衡をとって関係し、幅広い枠組みでの善隣協力を発展させる。この際、この二つの国と関係してきた歴史的伝統、経済協力の独特な特徴を考慮する。
14.2. 米国・日本・ヨーロッパ連合・インド・韓国・トルコなどの東西の国・連合とは「第三の隣国」政策の枠組みでパートナーシップ関係と協力を拡大発展させる。
14.3. その他のアジアの国と二国間友好関係と協力を発展させ、アジア太平洋地域の多国間協力への参加、東アジア・北東アジア・中央アジアにおける戦略的安定の強化と安全保障協力の拡大に向けた政策・活動を支持し参加する。
14.4. 国連とその専門機関および国際金融・貿易・経済機関との協力を積極的に継続し、世界統治における国連の義務と責任を拡大させることを支持し活動する。
14.5. 発展途上諸国との二国間関係と協力を発展させると同時に、国連・77カ国グループ・非同盟運動などの多国間の枠組みで協力する。

15. 政治的対外関係政策の方針を考慮し、外国に駐在する全権代表部の位置を決定し、対外政策を実施する条件を改善する。

16. 発展のニーズと国家安全保障確立の目標に合致した対外政策調査分析、対外関係を専門とする人材育成・研修体制を整備する。

17. 外国に駐在するモンゴル国全権代表部での外交・経済・文化・科学・技術について高い知識と教育を有する専門的人材を任命する政策を堅持する。

三、経済対外政策

18. 国家経済の持続的成長と経済安全保障の確立、国民生活水準の向上に際し、対外関係の影響を拡大させることは、経済的対外関係政策の目的である。

19. 経済的対外関係を発展させる際に、対等で互恵的であるなどの一般に承認された原則や権能を堅持する。モンゴル国国家安全保障大綱の条文を根拠として全面的な経済安全保障確立を望み、いずれかひとつの国に過度に従属することから警戒する。

20. 経済貿易自由地域、大規模な合弁および外資単独企業の設立、コンセッションの付与、新規インフラ建設など、経済発展に甚大な影響を及ぼす案件・施策を、国家安全保障確立の目的に合致させて実施する。

21. 経済的対外関係政策を、以下の方針で実施する。

21.1. 経済諸分野に先進技術とマネジメントを導入し、業務・サービス・製品の質と標準を国際的水準に近づけ合致させることで競争力を向上させ、輸出量増大を支援する。
21.2. 鉱山・農牧業原料の完全加工による高付加価値最終製品の生産、輸入代替製品の製造、雇用増大、また知的産業発展を支援する。
21.3. 燃料・エネルギー・道路・運輸・通信などのインフラ分野の開発に資する。
21.4. 国際的・地域的経済統合およびインフラネットワークへの加盟を望み、港へのアクセス、通過輸送の良好な条件整備に資する。
21.5. モンゴル国の自然・歴史・文化遺産に立脚した観光開発、そのサービスを国際水準に到達させ、国際的ネットワークに含まれること、文化商品の外国への販売を支援する。
21.6. 対外貿易を、経済成長と国民の需要を充たすために向け、その利益を向上させ、対外貿易の良好な条件を付与することにより、自国の商品・サービスの市場拡大条件を整備する。
21.7. 良好なビジネス環境を整備し、外国からの直接投資をバランスをとって増大させると同時に、国内企業の外国への投資、世界の金融証券市場への参加への条件整備を望む。
21.8. 「緑」「青」の経済を発展させ、鉱山資源活用の過程で自然環境に及ぼす負の影響を削減する際に支援する。
21.9. 生態学的安全保障を確立し、バランスの維持、自然環境保護、特に砂漠化対策の面で二国間および多国間の枠組みで協力を発展させる、外国や国際機関からの無償資金協力を得ることについて積極的に取り組む。
21.10. 国連および他の国際機関の枠組みで海に出口を持たない発展途上諸国の権益保護を前進させ、海洋資源利用の可能性を探る。

四、科学技術対外政策

22. 現代の科学技術の国力を改善し、経済社会発展の加速に資することは、科学技術対外関係政策の目的である。

23. 科学技術対外関係政策を、以下の方針で実施する。

23.1. 鉱物および農牧業原料を高度加工、先進技法の導入を支援する。
23.2. 経済社会分野へのイノベーションの導入、核技術の平和利用での協力を活性化し、再生可能エネルギー利用のプロジェクト・プログラムの実施を支援する。
23.3. 情報技術分野での外国からの投資、現代の成果を導入し、科学技術の全国的情報ネットワークの拡大発展を支援する。
23.4. 先進的学術研究の実験・試験を行う基盤を強化し、専門的研究者育成に外国からの援助・支援を増大させることを望む。
23.5. 国際的なモンゴル研究の拡大発展を支援し、外国でのモンゴル研究の拠点創出を支援する。
23.6. 科学技術・知的財産分野における二国間および多国間に基づく協力を発展させる。 

24. 文化・人文的対外関係政策の目的は、国の文化・文明、独特な伝統遺産を世界共通の文化的成果に組み合わせて発展させ、歴史・文化価値物の保護と復元、歴史的原因により外国に流出した遺物の探索に向けた協力の発展、社会・人文的分野の直接交流に資することである。


五、文化・人文対外政策
25. 文化・人文分野の対外政策を、以下の方針で実施する。

25.1. 歴史・文化記念物および価値物、自然遺産の保護と復元に関して外国・ユネスコおよび他の国際機関と協力し、世界文化遺産・自然遺産に我が国の有形・無形文化財を登録することを目指す。
25.2. 教育・健康・社会保障サービスを国際規範・要請に近づけ改善し、この面での先進諸国の経験を検討実施することに寄与する。
25.3.  国の発展に極めて必要な専門的人材を先進国にて養成し、外国の専門性の高い教師・学者を招聘する条件を整備し、学校・研究機関の創設などの教育分野での協力発展を支援する。
25.4. 教育・文化・芸術・スポーツ・広報・情報の国際機関との積極的交流、必要な条約への加盟、同じ種類の機関間での直接交流の発展、文化・芸術・スポーツの多くの行事への参加、このような種類の行事の祖国での開催を支援する。
25.5. 他国にいるモンゴル系諸族との交流・協力を拡充し、言語・文化・伝統の保存と発展を支援する。 

六、在外邦人権益保護政策

26. 在外邦人の権益保護政策の目的は、国境外に在留するモンゴル国民と邦人の法的権利・権益を保護することである。

27. 在外邦人の権益保護政策を、以下の方針で実施する。

27.1. モンゴル国の外国駐在全権代表部は、自国の国民と邦人の法的権益を、我が国および当該国の法令と国際条約の枠組みで保護する。
27.2. モンゴル国の外国駐在全権代表部は、駐在および兼轄する国に生活・勤労・留学している国民の登録・調査を実施し、彼らの必要な時に支援する。 27.3. 国民が外国を訪問する両国な法的条件を整備することを望むと同時に、彼ら
が祖国に帰国して発展進歩に寄与することを支援する政策を実施することを推進する。 27.4. 外国に契約で勤労する国民の社会保障を改善する方向で当該国と協力する。 27.5. 外国に在留する国民が突然の事故・攻撃・危機・強制に見舞われる、重病に罹患、死亡するなどの場合、モンゴル国の当該国駐在全権代表部は、可能な支援を迅速に行う。 27.6. 外国を訪問している国民が、麻薬や人身売買などの重大な犯罪に巻き込まれることを防止し、このような事件に巻き込まれ侵害された権利を保護する方向で当該国および関連国際機関と協力する。 27.7. 外国に在留する国民が、彼らの法的権利と自由、義務と責任について、および必要な他の情報・助言を提供する。
27.8. 外国に在留する国民の発案による団体・協会などの活動を支援する。        

28. 対外広報・広聴政策は、モンゴル国の国内政策と対外政策、民主化と改革の過程を万国に広報紹介し、我が国に関する好意的理解と印象を生じさせ、友好的対応で迎える国々の枠組みを拡大し、国民間の交流と相互訪問を拡大することを目的とする。

七、対外広報・広聴
 
29. 対外広報・広聴政策を、以下の方針で実施する。

29.1. モンゴル国の歴史・文化の伝統と経済・社会分野の成果を対外的に広報する業務を活性化させ、対外広報機構の創出を支援する。
29.2. モンゴルの歴史・自然・習慣・生活・発展進歩を示す広報書籍・小冊子・番組・映画・アルバムなどを用意し、他国国民に配布・広報する。
29.3. 二国間関係の枠組みで外国においてモンゴル国広報週間を組織し、展示会・映画・芸術公演の開催、会合・対話の組織を支援する。
29.4. 対外広報の改善のために、他国や国際機関の著名な人々、政治・経済・文化人、ジャーナリストおよび報道機関と協力する。
29.5. モンゴル国について外国の出版報道機関を通じて発表されているニュースや情報を研究する。
29.6. モンゴル国の対外政策と対外関係に関して国民と報道機関に具体的な情報を提供し、それらの力を他国との交流協力を平常に発展させることに向ける。
29.7. 対外広報広聴政策を実施する際に、民間外交・文化外交の手法を活用する。
29.8. 平和・友好諸団体の活動を支援する。