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共同声明付属文書 平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップのための 日本とモンゴルの行動計画(2022年~2031年)

大使館情報

2022-11-30

239

 2022年11月29日 2022年11月29日に「日本国とモンゴル国との間の平和と繁栄のた めの特別な戦略的パートナーシップ設立に関する共同声明」の下で、普遍的価値を 共有する日本とモンゴルは、あらゆる分野における「人」を基盤とした関係と協力を強 化するとともに、世界的な課題に取り組み、貢献していくために取り組む。このため、 両国は以下の分野における個別の協力を推進していくことを確認する:

Ⅰ 政治・安全保障

Ⅱ 経済・経済協力

Ⅲ 全ての基盤となる「人」と関連する、人的・国民交流及び人材育成;そして

Ⅳ グローバルな課題における協力

Ⅰ 政治・安全保障

1 政治

●首脳レベルの相互往来及びハイレベル対話の頻度を維持・促進

●両国議会及び議員連盟間の、交流及び相互理解深化のための協力を支援

●両国の関係省庁間の多層的な各種対話、交流や協力の推進・拡大

2 外交

●外務省間各種対話・協議(戦略対話、政策企画協議など)の定期的実施

●両国の外交官交流事業を通じた両国外務省間の関係・協力強化

●モンゴルの第三の隣国政策支援 -日本・モンゴル・米国による3か国協議の継続・定期的実施 -第三の隣国へのアウトリーチ活動における協力

3 安全保障・防衛

●外交・防衛・安全保障当局間協議、防衛当局間協議の定期的実施

●「日本国防衛省とモンゴル国国防省との間の防衛協力・交流に関する覚書」及び 「航空自衛隊及びモンゴル国軍空軍との間の防衛協力及び交流に関する覚書」 に基づく、ハイレベル及び実務レベルの相互訪問、防衛交流の拡大

●地域及び国際の安全保障情勢、テロ、人道支援、国際連合平和維持活動(以下 「国連PKO」という)等の分野における共通の関心事項についての意見交換の 継続・強化

●モンゴルの国連PKOに基づく多国間共同訓練「カーン・クエスト」への日本国陸 上自衛隊部隊の参加を通じた部隊間交流の継続・強化

●モンゴル国軍の日本国防衛大学校、防衛研究所、陸上自衛隊教育訓練研究本 部及び陸上自衛隊富士学校での受け入れ等を通じた、防衛分野の専門家の育 成協力及び教育・研究機関の協力強化

●両国間の防衛装備移転に関する法的枠組み構築を含め、両国の防衛装備・技 術協力の在り方に係る検討を速やかに行い、モンゴル国軍への防衛装備品・技 術移転を実現

●サイバーセキュリティ人材育成の支援

Ⅱ 経済・経済協力

1 活力ある両国経済関係構築

●モンゴルが推進する長期的開発計画「ビジョン 2050」、「新再生計画」、日本国が 推進する「新しい資本主義」政策間の関連性の確保、及び互恵的協力を拡大さ せる事業実施に向けた緊密な協力

●モンゴルのマクロ経済計画能力の向上に向けた財務行政執行能力強化

●モンゴルの社会保険の強化を目的とする支援の継続 ●両国の友好・協力関係の象徴である「チンギス・ハーン国際空港」の円滑な運営 のための支援

●「チンギス・ハーン国際空港」周辺開発に係る投資や法制度整備、産業誘致に向 けた協力

●両国間の航空路線を通じた往来の更なる活性化

2 投資・ビジネス環境の整備

●両国の一層の経済発展、円滑かつ互恵的な経済関係の構築に資するための、 「経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定」(以下「日・モンゴル EPA」という。)の活用の積極的な推進

●モンゴルによる、日・モンゴルEPAのより円滑な実施のために必要となる証券市 場・金融市場の法整備や投資家育成の実施、及びこれらに対する日本国による 支援

●日本国外務省及び経済産業省とモンゴル国外務省及び経済・開発省との間の 緊密な意見・情報交換、協力の推進

●日・モンゴルEPAの着実な実施を確保するための、経済連携等に関するセミナ ー・フォーラムの開催等を通じた両国の緊密な連携・協力

●両国の租税条約締結に向けた意見交換の実施

●貿易・投資のための「日本・モンゴル官民合同協議会」の継続的な開催

●地域的特性・強みを活かした、両国の民間企業間のビジネス活動や技術協力の 促進

●モンゴルを試験場とする日本企業・研究所等の事業への支援等を通じた、モンゴ ル国政府による進出日系企業への支援

3 モンゴル経済の多角化

●モンゴルの経済多角化、鉱業分野以外の輸出力の強化の向上 -モンゴルの持続可能な軽工業・農牧業の発展に向けた、食料安全保障の能力 向上、持続可能な食料システムの構築、民間及び NGO に対する支援

●モンゴルにおけるエネルギー事情に関する様々な課題解決に向けた支援の抜 本的強化 -日本国による「電力供給改善計画」の下でのダルハン変電所への蓄電池設置 や水素・クリーンコール技術・風力発電事業等の協力の活性化に向けた協力

●モンゴルの銅、レアアース等を始めとする鉱物資源の日本への長期的・安定的 供給実現のための協力及びサプライチェーンの活性化に向けた協力

●モンゴルの都市部及び地方のバランスの取れた均衡のある開発(含むウランバ ートルへの一極集中緩和)に向けた協力

●双方向の安定的な観光交流発展のための活動支援や持続可能な観光開発及 び観光情報の共有や観光 PR の推進に向けた協力

●自然環境・観光省及びモンゴル観光開発センターとサステナブルツーリズム推進 体制構築に向けた支援

●大阪・関西万博 EXPO2025 を通じたモンゴルの対外 PR への協力

III 全ての基盤となる「人」(人的・国民交流及び人材育成)

1 将来の両国関係の担い手の創出、担い手への支援

●青少年等の人的交流事業促進のための方策の継続・強化(含む JENESYS、日 本・モンゴル学生フォーラム、青少年植樹交流事業等)

●ソフト面での交流促進 -両国の歴史、文化及び文化遺産並びに政治、経済及び社会の状況の両国国 民への広報のための相互協力・支援 -オピニオンリーダーやジャーナリストの招へい・交流 -出版物及び映像資料の交換等

●日本による、モンゴルにおける日本語教育発展のためのモンゴルの日本語教師 及び学習者支援の継続、並びにモンゴルによる、モンゴルの日本語教育に係る 日本国の地方自治体、教育機関、友好団体による取組の側面支援

●知日派・知モンゴル派のネットワーク化支援

●「人材育成奨学計画(JDS)」等を通じた、モンゴルの開発課題解決に寄与する人 材育成支援及び同事業を通じた両国の人的ネットワークの構築支援

●「モンゴル・日本人材開発センター」の活用を含む、モンゴルの鉱業・医療・畜産・ 食品安全、更に観光・デジタル等の分野における、産業人材の育成支援

●技能実習制度に関する協力覚書の下でのモンゴル国労働・社会保障省との定 期協議の継続実施や、モンゴル国内での送出機関向けセミナー開催を通じた、 モンゴルの経済発展を担う人材の育成支援 ●ICT・デジタル産業及びスタートアップの振興やデジタル人材の育成・交流を通じ た協力

2 文化芸術・教育・学術・スポーツ分野の協力・交流促進支援

●2017年の教育・文化・スポーツ・科学技術分野における当局間の協力覚書に基 づいた人的交流の促進等の協力関係強化

●日本におけるモンゴル研究及びモンゴルにおける日本研究発展のための協力 ●両国の学術分野における学識経験者及び研究者間の協力支援

●文化、科学技術及び芸術における協力の促進、関係省庁・関係機関間の交流促 進のための協力

●モンゴルの初等中等教育における、学習環境及び教育の質の改善に向けた協 力の継続

●シニア・ボランティアの活用・拡大を含む、モンゴルの工学系高等教育機関の機 能強化に資する支援 ●モンゴルにおける文化交流・文化振興・文化遺産保護のための協力

●モンゴル一般旅券所持者に対する一層の査証緩和措置の導入に向けた検討

●国民交流や相互理解の強化の一環としての両国間ワーキング・ホリデー制度の 導入に向けた検討の開始

3 民間団体・地方自治体間の交流の更なる促進

●地方自治体、民間団体及び民間人の発案した交流(含むホストタウンを通じて構 築された草の根民間交流)におけるあらゆるイニシアティブの側面支援

●モンゴルにおける障害児のための教育改善及び障害者の社会参加促進におけ る草の根活動に対する支援、両国の障害者支援分野の交流・協力の促進

IV グローバルな課題における協力

1 地域・国際場裡

●国際平和及び安全保障のための協力強化、国連の機能強化に向けた連携(含 む安保理改革に関する政府間交渉の活性化、安保理改革の早期実現に向けた 緊密な連携・対話

●モンゴルによる日本の安保理常任理事国入りの一貫した支持

●国連及び安保理に関する連携の強化、外務省国連関連当局間の継続的な対話 の実施

●「人道的援助及び災害救助並びに国際連合平和維持活動の分野における教育 及び訓練のための協力に関する日本国政府とモンゴル国政府との間の協定」に 基づく、PKO分野における道路構築や衛生分野における能力構築支援等の協 力継続(含む第3期「ザム(道路)」訓練及び緊急時・災害時の大量傷者受入のた めのモンゴル軍中央病院に対する訓練実施)

●日本政府による、モンゴルの東アジア首脳会議(EAS)加盟等、アジア太平洋地 域における多国間協力メカニズムへの参加の希望に対する一貫した支持

●朝鮮半島の非核化実現、北朝鮮による核及び弾道ミサイル計画に関連し、北朝 鮮に対し関連の国連安保理決議の完全な遵守を求め、また、国際社会に対し関 連する国連安保理決議を履行することの重要性を強調。モンゴルは、北朝鮮に よる日本人拉致問題の解決に向けて支援を継続して実施し、諸懸案を包括的に 解決し、双方が相互理解に達するためのあらゆる活動を支援することを確認す る。

●モンゴルが提案した「北東アジア安全保障に関するウランバートル対話」の開催 を含む北朝鮮をめぐる諸懸案の解決及び北東アジアの平和と安定に向けたモン ゴル政府の立場の支持

●国際法の原則に完全に従った、平和、安定及び繁栄の確保、海洋の安全保障、 安全及び協力、航行と上空飛行の自由並びに阻害されない通商促進へのコミッ トの再表明、及びこれら分野における協力への支持 -モンゴルの国連安保理決議の実効性向上に向けた協力

●パンデミックを始めとする非常事態時の感染症への対応能力強化、リスク低減に 関する、地域及び国際場裡における協力・連携

●水産資源の持続可能な利用に関する国際場裡における連携・協力の継続

●軍縮・不拡散に関する協力 -モンゴル一国非核の地位の国際場裡における承認に向けた継続協力 -国連総会第一委員会における緊密な協力 -核兵器のない世界に向けた「ヒロシマ・アクション・プラン」に沿った協力 -国際的な軍備管理枠組みの強化に向けた協力

2 気候変動・環境問題への取組強化

●2011年の「日本国環境省とモンゴル国自然環境・観光省間の環境協力に関す る協力覚書」の実施確保 ●アジア太平洋適応情報プラットフォームを通じた気候リスク情報共有と、気候変 動適応実施に関する協力の継続

●温室効果ガス観測技術衛星 GOSAT シリーズの観測データを用いた温室効果ガ ス排出インベントリの作成支援

●パリ協定第6条に沿った二国間クレジット制度(JCM)に基づく資金支援事業等の 拡充実施及び新規事業の発掘

●気候技術センター・ネットワーク(CTCN)を活用したグリーン水素の製造・利活用 のための実現可能性調査の実施

●砂漠化対処条約に関連し、ザグ(在来種の灌木)の保護・回復に資する調査事 業の実施、知見の共有

●日本による、モンゴルにおける5年間で約5万本規模の植林、モンゴルの青少年 約2万人に対する、植樹活動を含む環境・防災に係る啓発活動を通じた、モンゴ ル「10億本の植樹」国民運動推進に向けた協力

●防災取組の強化 -地域及び国際場裡における防災分野での連携 -モンゴルが蓄積してきた知見・技術、省庁間連携関係等に基づく、耐震建築及 び防災教育等の具体的な防災能力の強化に向けた、支援の円滑かつ確実な 実施